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車いすの男の子との大切な思い出 |車椅子の豆知識

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車いすの男の子との大切な思い出

車椅子の豆知識のタイトルイメージ
車椅子の男の子

もう少し前の事でが、小学校の特別支援学級を担任している時に 「車いす中心の生活をしている子ども」を担当したことがあります。
初めて会った頃は、どう見てもとにかく自分の興味のある事に関してはいくらでも積極的になるのに、 自分の嫌な事や苦手な事に関しては、あまり自分から動こうとはませんでした。
様々な、動きにくい手や足の機能回復を考えると共に、 「車いすを自分で動かせて、行きたい所へ行ければ生活自体がもっと楽しくなる」という事をなんとか伝えたい、
ただ、訓練ばかりではなく、自分の楽しい事が出来るようになる という事が分かる活動をしたいと一緒に考えてきました。
その結果が、「自分で車いすを動かして好きなところへ行ける」 という実感を本人に味あわせていく事だと思いました。

学校のイメージ
自分なりの楽しくなる工夫

 だから、給食以降の、すこししんどくなる時間は とにかく車椅子を動かして少しでも離れた先生((私)に近づいたら、 大好きなこちょこちょしてもらえるという車椅子を動かす練習を、 車いすが動かしやすい渡り廊下の平らな滑りやすいコンクリートの上で続けました。
また、自走式の車いすですが、回す部分が平らだったので、母親に了解を得て、ちょう ど高校で軟式テニスをしていた娘が使っていた、「でこぼこで滑りにくくなるグリップテー プ」を買ってきて、車いすの自分で回す部分に巻きつけて貼り付けてみました。
すると、今迄障害のために動かしにくかった手にも力が入りやすくなり 「自分でも先生の所まで行ったら、大好きなこちょこちょをしてもらえる」という事がわかり、 少しずつ移動する意思が芽生えたようです。

昼過ぎの時計の写真
動かすためのアイデア

長い休暇の後、母親ともその前に話をして 「動かせる力はついてきています」ということを話していました。
すると、学期が始まった時には、テープは全てなくなり、その代わりに、 自分で回して動かせる部分が、今迄のようなただの輪ではなく、 でこぼこの元からついた輪に変わっていました。
聞いてみると、「自分でも動かそうとはしているけれども、やはり握力に問題があるので 少しでも引っかかりやすいでこぼこの付いたリングにつけかえてみた」という事でした。
なんだかこちらの努力をそのまま受け入れてくれて、 一緒に本人にとっていい方向を考えてくれていようでとても嬉しく思ったのを今でも覚えています。

車いすハンドリムテープの写真
車いす視点で街を見る

車いすというのは、自分で押して初めて分かったのですが、 町の中はとても動きにくい物です。
ほんの少しの段差が乗り越えられなかったり、横断歩道と歩道との境にある スロープも子供だけの力でなかなか動きが取れないものです。
本当に自分で乗ってもないと分らないことが沢山ありました。乗れないまでも、 やはり、校外学習へ行く時は休みの日使ってそのコースを歩いてみて、 「ここはどこかでエレベーターに乗らないと無理」とか、 「ここは自分でも何とか動いて楽しめる」などという事を 一度自分の足で歩いてみないと分りませんでした。
歩いてみて何よりも驚いたのは、「神戸の未来を考えた町」として つくられたはずの「ポートアイランド」に走っている
「コンピューター制御」の無人列車の「ポートライナー」の駅には、 そのほとんどにエレベーターもついておらず、補助してくれる人が いないと車いすの人が利用できないという状況でした。

街のイメージ1
未来を見据えてユニバーサルデザインを

ポートアイランドが大きくなったのは1981年の『ポートピア81』でした。 今からもう30年以上前に作られたものです。
その時には「車いすを使っている人」の事など何も考えられずに 「未来都市」が作られていたという事が、「時代の変化」と「人々の考え方の変化」 そして「大切にしなければならないものの変化」を物語っているようでした。
もう、その男の子は特別支援学校へと変わってしまい、専門的な教育を受けていると思います。 私がやってきたような、「とにかく人生の楽しさを知ろう」というような、生易し いばかりではない教育、練習を受けて頑張っていることと思います。
しかし、少しでも自分の手で輪をつかもうとして、私のところまで行ってこちょこちょしてもらって 楽しもうとしていたあの頃は決して間違っていなかったと、今でも思い出しては考えてはいます。

街のイメージ2