私が嫁いでから父は1人暮らしをしていますが、何でも自分でこなします。
料理も自分で作ります。以前は自転車で買い物へ行っていた父ですが、
風の強い日に自転車が揺さぶられて倒れてしまい、
幸い大したケガではなかったのですが、私から頼んで自転車に乗ることはやめてもらいました。
ですが、近所の店に買い物へ行く際は、自転車を押して行き、
荷物を載せて帰ると言います。手で荷物を持って歩くより、
自転車に載せて押して帰るほうが楽だと言うのです。
行きはゆるい下り坂なのですが、逆に帰りは上り坂になるので、
父は自転車を押すだけでも疲れてしまい、
帰りの道すがらにある公園のベンチに座って休憩をとってから帰るそうです。
「シルバーカーを使ってみたら?」と話しましたら、
近所でシルバーカーを使っているのは女の人ばかりで、
男で使っている人など見たことがないと言います。
男がシルバーカーを押すのはみっともないと言うのです。
以前、シルバーカーを使っている近所の方に、
立ち話のついでに「ちょっと使ってみたら?」と言われて
シルバーカーを押してみたら、段差に車輪が引っ掛かり、
うまく操作できずに笑われたことも、シルバーカーを嫌う原因になったようでした。
道路もバイアフリーが進んでいますが、まだまだ段差のある道路もあります。
ほんのちょっとした段差でも、シルバーカーやベビーカーは通れないことがあると聞きます。
腕の力も弱ってきた父には、荷物を載せたシルバーカーを、
段差のある場所で持ち上げるのは苦痛だろうと思いました。
シルバーカーなど使わないと言い張る父ですが、
スタイリッシュな形で、段差のある所でも簡単に押せるシルバーカーがあれば、
使ってくれるかもしれないと思いました。
すぐさまシルバーカーを買ってプレゼントしても、
父は素直に受け取ってくれないかもしれませんが、
父の日のプレゼントとして贈れば、快く受け取ってくれるのではないかと思いました。
シルバーカーを選ぶポイントを私なりに書き出してみました。
ちょっとした段差は簡単に通れること、荷物を入れる場所があること、
父は年齢の割には170㎝と背が高いので、ハンドルの高さが調節できること、
見た目がスタイリッシュなこと、この4点は必須でした。
調べてみるとマキテック(マキライフテック)のキャリースルーンというシルバーカーが、
段差に強いことが分かりました。3㎝までの段差ならスムーズに進めるそうですから、
横断歩道と歩道の間にある段差程度なら、楽に押して行けそうでした。
ハンドルの高さが80㎝~100㎝まで、20㎝も調節の巾があるので、
父でも腰を曲げずに押すことができそうです。
自転車に慣れている父には、ハンドブレーキが付いている
シルバーカーが良いと思っていましたが、
ハンドルを握った状態でブレーキが掛けられるキャリースルーンなら、
操作もすぐに覚えられそうでした。軽量でコンパクトに折りたためるのも父には良さそうでした。
父の家の近所はゆるい坂があるのですが、
キャリースルーンは坂道でも安心と書いてありました。
オイルの力でスピードを制御するそうです。
父は少々の雨なら傘もささずに歩く人でしたから、
できればバッグの部分が防水であればいいなと思っていましたが、
それらすべてを兼ね備えていたのが「キャリースルーンHi CSH-20」でした。
父は紺色の洋服を好んで着ていましたので、色はネイビーに決めました。
父の日に届くように宅急便で送りました。
シルバーカーなど使わないと言っていた父が気に入ってくれるといいなと祈るような気持ちでした。
宅急便が到着した日の夜、父から電話がありました。
「余計なことしやがって」と言いながら、「外で試しに使ってみたら、
近所の婆さんから、それカッコイイわねと言われたぞ」とまんざらでもなさそうでした。
しばらくして父を訪ねてみると、買い物に行こうとして
キャリースルーンを玄関から出している最中でした。
父は「使わせてもらってるよ」とボソッと言った後、
付け加えるように「ありがとな」と恥ずかしそうに言ってくれました。
父の日にシルバーカーをプレゼントしたことで、私も少しは親孝行できたかなと思っています。
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