室内用車椅子にもいろいろな種類が誕生し、利用者の生活をしっかりと支えてくれるようになりました。
しかし、中でも特異な変遷の中で進化をした車椅子として、「吉田いす」についてご紹介をしたいと思います。
「吉田いす」とは、室内や外出の際に使用することができる
「電動車椅子」を作り続けている「株式会社メックデザイン」が手掛けた製品です。
もともと舞台・展示に関する仕事をおこなってきた株式会社メックデザインですが、
社長の友人が難病である筋ジストロフィーという病気になったことから、車椅子の制作に乗り出すことになります。
筋ジストロフィーは、体の中にある筋力が委縮していく病気のこと。
このため、症状が進行するにつれ体を動かすことが難しくなり、車椅子での移動が必要になります。
友人がこの病気になったことで、「何とかしたい」という思いから、
株式会社メックデザインは車椅子の開発に携わることになります。
「吉田いす」を開発しているとき、筋ジストロフィーとなった
友人がこのようなことを話したそうです。
「車椅子はどれも医療用ばかり。それに座るたび、
自分は障害者になったのだと意識してしまう」。
その言葉から、株式会社メックデザインは
「座るのに抵抗を持たなくていい車椅子を作ろう」と考えました。
室内をしっかり動き回ることができる小さ目のデザインであること。
子どもでも動かすのが楽しくなるような、カラフルなデザインの車椅子であること。
さらに、外に出てもどこにでも乗っていくことができるような、パワーがあるもの。
車椅子の形を一つに限定し、それに人が合わせるのではなく、
「人に合わせた車椅子を作る」ということにこだわり、
完成したのが「吉田いす」です。
まさに、室内用車椅子に限定しない活躍をしている吉田いすは、
障碍者の可能性を大きく広げている車椅子のひとつといえるでしょう。
「吉田いす」の名称に使用されている「吉田」は、
筋ジストロフィーとなったお友達の名字。
このことからも、かなりの思い入れをもって
作られた車椅子であることが解りますね。
気持ちが華やぐ車椅子を 車椅子は足が不自由な人にとって、車椅子は「足」となる存在です。
そんな車椅子に乗るたびに、ワクワクした気持ちになることができる様に…という思いで作られたのが、この「吉田いす」です。
吉田いすは多くの福祉関連機器展示会で発表されていますが、ブースの前を通る人はみな「吉田いす」のバリエーションに驚くそう。
特に、子供向けに開発された「てんとうむし」のアイディアには多くの人が足をとめるそうです。
足を乗せる台がテントウムシの形になっているこの車椅子は、そのかわいらしさが注目の的になっているそうで、
どんな子供でも「乗ってみたい!」と思うこと間違いなしの車椅子。
そういう感覚が大事なのです。「これ可愛い!これに乗ってお出かけしたい!」と思えるような車椅子であることが、これからの車椅子には必要なことなのではないでしょうか。
この「てんとうむし」に使われているシートは、チャイルドシート「レカロ」のもの。
子供が楽しく毎日を過ごせるだけでなく、安全に過ごすことができる工夫もされています。
色々なメーカーから車椅子が発売されているものの、機能性が高いという条件はクリアしても「ファッション性」にかんしてはまだまだ、というものが多いです。
今後は、その機能性をもっと追求できるような車椅子がもっと増えてほしいですね。
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