車椅子を販売している企業はたくさんありますが、
中でも特に良く知られているのが「カワムラサイクル」の存在ではないでしょうか。
カワムラサイクルは、質の良い車椅子をたくさん販売していることで有名な車椅子専門のブランドです。
このカワムラサイクルですが、実は数奇な運命をたどっていることで良く知られている企業。
1995年に兵庫県神戸市で産声をあげたカワムラサイクルは、
その名称からも良く解る通り自転車を専門とする企業として発足しました。
ロードレース用の自転車を数多く手がけ、海外においては
「高級自転車といえばカワムラサイクル」と言われるほどの存在だったのです。
しかし、1980年になると自転車は珍しいものではなくなり、それに伴い価格が低下しました。
誰もが持てるようなものになると、そこには大手企業が参入しやすいコストで
同じ商品を作ってしまう…そこから価格破壊がおきる。
この流れは、どの業界でも変わらない様ですね。
海外製の安い自転車が日本のショップに置かれるようになり、
高額なカワムラサイクルの自転車は徐々に庶民から遠いものとなっていきました。
そこに阪神大震災がおきたことでカワムラサイクルは大きな打撃を受け、
それが決定打となり「グリーンヘルパー株式会社」という
福祉関連企業がカワムラサイクルの株式を買い取ることになりました。
実質、ここでカワムラサイクルの「自転車メーカー」としての歴史は閉じたといえるでしょう。
しかし、ここからカワムラサイクルの新しい歴史の幕が上がります。
もともと質の良い自転車を作ることにかけては定評があったカワムラサイクルは、
マウンテンバイクを作るときに使用されていたアルミに目をつけ、アルミでできた車椅子を発表。
軽くて頑丈なこの車椅子の発売は世間を驚かせ、福祉業界からかずっ数の賞賛を得ることとなりました。
さらに、カワムラサイクルの背をおしたのが、2004年に制定された「介護保険法」です。
介護保険法ができたことで、それまで高くて一般人が購入できなかった高額な福祉器具を手にできるようになり、
「高くてもいい車椅子を買いたい」と考える人が増えたのです。
これが、カワムラサイクルにとっては何よりの追い風となりました。
質がよく、介護者にとっても利用者にとっても使いやすいアルミ製の車椅子は、
その後も新しいものがどんどん発売されて多くの人を救っています。
© 2013-2023 Next care innovation Co., Ltd.