私の親は、病気で片方の足と腕がまったく動かない半身不随です。
倒れて意識を失ってから数ヶ月間は、話すことも、自分で食べることも、排泄もできませんでした。
しかし、リハビリのかいもあって、少しずつよくなってきて、一言話すことができるようになり、
そして、二言めも加わり、笑顔も多くなっていきました。
退院するまでにはかなり時間がかかりましたが、自分で車椅子を押せるようにもなっていました。
家のトイレやお風呂、台所など、よく行く場所はすべてバリアフリーにしました。
玄関は段差があるので、車椅子ではのぼれませんでした。
でも、スロープを作って登れるようにしました。
スロープは急なので、家族が押してやらなければなりませんが、
車椅子ごと二人がかりで持ち上げるよりは楽になりました。
退院が決まったころは、車椅子を買わなくてはいけないかな、と思っていました。
当時は、車椅子の価格は非常に高価でした。
1台十万円以上するものも珍しくありませんでした。
しかし、他の人が使わなくなったものを譲ってもらったので、とても助かりました。
その車椅子を使って、家の中を動き回っていくうちに、自然と笑顔も多くなっていきました。
自分からやることが増えて、話すことも多くなりました。
もともと話し好きだったので、話したくてうずうずしていたのかもしれません。
車椅子は人からもらったとはいえ、不便なところも目立つようになりました。
よくタイヤの空気が抜けて、押しづらくなるのです。
古い車椅子だから、それは仕方がなかったのかもしれません。
そして、ハンドル部分のグリップがとれやすくなってきたので、坂道のときは大変でした。
ハンドル部分ではなく、アルミ部分をぎゅっとつかんでいないと、
グリップが完全にとれてしまうようになっていました。
その車椅子は、他の車椅子に比べて重かったので、それも負担となっていきました。
行動する範囲が多くなるにつれて、今まで使っていた車椅子では、物足りなくなっていたのです。
通院した病院では、病院内の車椅子を使っていたのですが、
家で使っているものよりも軽かったり、操作性がよいものも多く、とても参考になりました。
坂道で大変だったことから、ブレーキがついていて、
軽く、タイヤがパンクしないものを購入しようと決めていました。
もちろん、価格の安いものであれば、さらにいいです。
ところが、ネットで最初に調べたときには、価格の高いものばかりが検索されてしまいました。
やはり安いものは売っていないのかな、そう思いながらも、
必死に検索していると、価格の安いものもヒットするようになりました。
でも、価格は安いのですが、ブレーキがついていなかったり、
サイズが大きかったり、ノーパンクタイヤでなかったりと、
なかなか条件に合うものがありませんでした。
空いた時間に少しずつ調べていったので、1日だけでは見つかりませんでしたが、
数日後にようやく、今使っている車椅子を発見しました。
そのときは安売りセールだったのか、価格は3万円以下でした。
でも、安いものが見つかったものの、そのあまりの安さに、性能のほうを疑ってしまったのです。
安くて、折りたたみ式の介助ブレーキがついていて、比較的軽くて、ノーパンクタイヤ、
と、四拍子もそろっているのに、あまり安すぎるものを買っては長続きしないと思ったのです。
でも同じ値段で、性能もほとんどかわらないものが他のメーカーからもでていました。
そして買おうと思っていた車椅子のメーカーが、
病院などでもよく使われている車椅子のメーカーであることを知って、
安心できると思い購入を決意しました。
それが『松永のARシリーズ』でした。
チェック柄のものを購入しました。
前の車椅子のころは、トランクにいれていたのですが、
軽自動車で移動することが増えてきたために、
軽自動車には前の車椅子が入らなかったことも、購入を考えるようになった理由でした。
新しい車椅子は、介助ブレーキの部分を折りたためることができますし、
全体的にコンパクトな設計になっているので、軽自動車の後部座席の前に収納することもできます。
まず、パンクしないタイヤであることが安心できます。
以前は、外を散歩中にタイヤの空気がぬけてしまい、戻ってくるのが大変だったこともありました。
そして、この車椅子のいいところは、片手で両方のサイドブレーキを操作できることです。
車椅子の種類によっては、サイドブレーキの位置が違っているため、
片手で両方操作できないものも少なくありません。
病院には車椅子が多いので、選ぶことができますが、
デパートや施設などでは、車椅子が一台しか置いていない場合も多く、
反対側のレバーに手が届かないこともあるのです。
そのため、外出するときにはいつも、車椅子をもっていきます。
自分の車椅子を持っていることは、行動するきっかけにもなりますし、
そしてなにより、いろんなところに行こうという気にもなり、笑顔も多くなりました。
新しい車椅子に変えて、本当によかったです。
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