私の友人で車椅子のおかげで人生を再出発することが出来るようになった人がいます。
私の友人は、建築関係の仕事をしていて、
もう10年以上前になりますが、作業中に
高所作業をしていたところ足を踏み外して転落してしまい、
脊髄を損傷する重症事故にあってしまいました。
身体はとても大きくて人一倍身体も強い人でしたので、
命は助かりましたが、脊髄の神経を損傷してしまったようで、
両足の感覚が麻痺してしまう重症をおってしまいました。
それまで元気にバリバリ仕事もしていたので、
怪我による両足が動かなくなってしまったという状況は
とても心を傷つけてしまったようで、
入院中もふさぎがちで、生きていく気力を失ったように見えました。
リハビリに取り組んでも全く足に力が入らず、
少しでも足に力が入れば、松葉杖や歩行器を使用しての
リハビリも出来るのでしょうが全く立つことができず、
治る見込みも全く分からない状況でした。
何もやる気が起こらず、別人のように元気がなくなった友人でしたが、
私もどう声をかけていいかも分からず、将来の展望も見えないまま、悩む毎日でした。
転機がおとづれたのは、病院の先生が車椅子でのリハビリを勧めてくれた時です。
どうにかして自分の脚で歩こうと努力するたびに、
成果が見えず苦しんでいた友人でしたが、
とりあえず今の自分に出来ることを少しずつやっていこうということで、
動かない足のことに執着するのではなく、
車椅子を使って出来る生活の範囲を少しずつ広げていくように努力をするようになりました。
車椅子があるとまず変わるのが生活できる活動の範囲です。
足が悪いだけでそれ以外のところはどこも悪くないのですから、
車椅子があれば手で車輪を押して自分ひとりで好きなところへ移動することが出来ます。
車椅子でリハビリをするようになってからは、
病室にこもりがちだった友人も、天気のいい日は外に散歩に出たり、
売店に自分で買い物に行ったりと車椅子を上手く使って
自分ひとりの力で生活を送ろうと努力するようになりました。
人の手を借りずに自分だけで出来ることがたくさんあるということが
分かったことが大きな自信に繋がったと思うのですが、
車椅子がなければこれほどの心境の変化は絶対に起こらなかったと思います。
治療を続けて退院できるようになり、その先どう生きていくのかと
友人も思っていたようですが、勤めていた会社の事務員として
車椅子の友人をそのまま勤務させてくれることになりました。
仕事の先行きに不安を感じていた友人でしたが、
これもとても心の自身に繋がったようで、
今までやったことのないデスクワークを一生懸命がんばってこなすようになりました。
現場での作業は車椅子では困難ですが、事務作業であれば
パソコンを使用することが出来れば車椅子であろうが
健常者であろうがたいした差はありません。
当初大変だったのは、車椅子生活者が通りやすい通路、 段差などを解消する必要があったので、 バリアフリーの取られていない会社には初期の投資は大変 だったと思いますが、周囲の理解もあり、 車椅子のものにも働きやすい環境になり友人もとても喜んでいました。 車椅子といえば私は生まれながらに病気を持っている人や 重病の人が使用するもので、身近な人が車椅子を使用することなど 全く想像していませんでしたが、車椅子を使用する人と接することになり、 車椅子は時には人の人生を左右するほどの影響を与えるすばらしい商品だと思いました。 車椅子の後ろの取っ手を押しながら散歩などをしていると、 車椅子に乗っている人と距離が近くて心と心が繋がっているような不思議な気分にもなります。 友人を救ってくれた車椅子にはとても感謝しています。
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