

家族が怪我や病気で歩けなくなったとき、初めて車椅子の存在が身近になるものです。私にとっても、そのきっかけはお祖母ちゃんでした。
ある日、家で転倒してしまい、急いで病院に連れて行った際に初めて車椅子を使わせていただきました。病院では「お祖母ちゃんが立てないし、歩けない」と伝えると、看護師さんが「車椅子に乗せましょう」と言ってくださったんです。当時、お祖母ちゃんは少しふくよかな体型でしたので、病院で用意していただいたのは少し座幅が広めの車椅子でした。車椅子を使うのが初めてだと伝えると、看護師さんは基本的な注意点を丁寧に教えてくれました。

車椅子の前に車いすを使う人を後ろ向きに立たせてから座らせること、座らせる時には必ず駐車ブレーキをかけておくこと、乗せて動かすときはフットサポートにしっかり足を乗せること、なるべくゆっくり移動させること、走らないこと。
また、車椅子を止めるときはまっすぐな平らな場所を選ぶこと、一人で使う時は車輪に指を巻き込まないよう注意すること、必要ないときは折りたたんでコンパクトにすることなど、安全のための要点をたくさん教えていただきました。

使い始めてまず思ったのですが、お祖母ちゃんは体重が重かったため、最初の一押しがうまく動きません。まっすぐ進むことは出来ても、曲がり角や平らになっていない通路でのスロープ、特に下りの部分は本当に力が必要でした。
段差のあるところでは、何度も繰り返し車椅子を動かしていたと思います。しかしながら、車椅子のおかげで診察室や検査室への移動もできて、お祖母ちゃんの心配そうにしていた顔に少しずつ安心感もでてきました。お祖母ちゃんも、とても不安だったのだと思います。

押し続けてまっすぐ進むことが出来るようになってくると、自然と一人で歩いている早めの速度になってしまいます。「ああ、だから看護師さんが注意点で『移動するときはなるべくゆっくり動かすように』と言ってたんだ」と思い出しては、車椅子を押しながら歩くスピードをゆっくり目に心がけました。
車椅子を押しながら歩くことは簡単だと思っていましたが、意外に気遣いと力がいるんだと実感しました。

一番困ったのはトイレです。看護師さんと一緒にトイレも使わせてもらいました。車いすのままで入り、トイレの便器横に止めてから移動するといった方法でなんとか使えました。ベッドから車椅子への移動もなかなかスムーズにはいきません。
車いすとお祖母ちゃんの間が遠いと、車いすにうまく座れません。正面を向いて立ち上がらせ、車いすを斜めの角度に用意し、お祖母ちゃんの体を車いすの向きに合わせるように座らせていました。無理に体を向かそうとしたりすると足元がふらついてしまい、車椅子が邪魔になることもあります。
転倒こそしませんでしたが、看護師さんは本当に体力がいるなと感心しました。

この後何度か入院退院を繰り返したときも車いすで移動しました。車椅子を使っているお祖母ちゃんに「うまく座れるようになったね」と言うと、うれしそうな表情をしてくれて、私も安心感がでてきました。
病院のレクリエーションで近所の小さな植物園や、お花見だったりと季節ごとに車いすに乗って連れて行ってもらえて、お祖母ちゃんも気分転換になると話していました。
病院から見る毎日同じ景色以外を見れることは入院した本人にしか分からない喜びであり、車いすで移動できることでお祖母ちゃんの表情も明るくなれたように感じました。お祖母ちゃんは自分で立って歩くことはできなかったけど、ずっとベッドの上ではなく、こうして車椅子のおかげで移動できることでストレスの解消にもなったようです。
初めての介助という戸惑いの中で、看護師さんからの教えを一つひとつ丁寧に守り、お祖母さまに安心を届けようとされたご家族の姿が目に浮かびます。 特に「最初はうまくいかなかった」という正直な体験談は、これから同じように介助を始める方にとっても、大きな励みになるはずです。
車椅子は単なる移動の道具ではなく、入院中の不安な心を開放し、外の景色を見ることで気持ちを明るくしてくれる「外の世界へつながる窓」でもあります。 トイレへの移動や移乗など、実際にやってみて初めて分かる介助の難しさは本当に多いですよね。
今回のように、もしお体が大きめの方や、介助の負担を減らしたいという場合は、座幅が広く安定感のあるワイドタイプや、 取り回しが楽な車椅子という選択肢もございます。室内での移動や小回りが気になる場合は、室内用車椅子と言う選択肢もございます。 狭い場所でも小回りを利かせる工夫のされた車椅子を各種取り揃えておりますので、よろしければご覧くださいませ。
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