27歳の私の体験談です。
まさか自分が車椅子に乗る日が来るとは、同年代の人達は思っていないかもしれません。
どうやって乗るのか、どうやって押すのか。
それすら知らない人達がほとんどかもしれません。
まだまだ肌寒い頃、私は自動車事故に遭い、脊髄を損傷しました。
仕事も順調に進み、毎日に何の不満も不安もない、そんなある日でした。
大きく転倒してきたトラックとぶつかり、投げ飛ばされた私。
あまりしっかりとは覚えていませんが、気付けば集中治療室にいました。
まさにドラマで見たワンシーンのようなことが、自分の身に起きたのです。
集中治療室でお医者さんから言われた、
「一生歩けなくなる可能性も視野に入れてください」
この言葉。
理解こそ出来たものの、歩けなくなるというのがどういうことか、
今まで自分の足で歩いて来た私は知る由もありません。
ただただ不安を抱えながら、3週間は完全に寝たきり。
トイレも全てベッドの上…
こんなに不便を感じたことは、今までの人生でありませんでした。
その後に行った手術は無事に成功。
脊髄を守るように固定手術をして、幸いにも「歩ける」状態になりました。
奇跡的に神経まで損傷していなかった為、私は幸運にも歩けることになったのです。
ですがもちろん、寝たきりで入院生活を過ごしてきた私が、
突然歩くことを許可されるはずがありません。
骨折をした人ならわかると思いますが、とにかく辛いんですよね、動けないことって…。
寝たきりの私は、車椅子で移動する同室の患者さんたちをとにかく羨ましく思いました。
私はいつ車椅子に乗れるんだろう?とにかく動きたい!
その気持ちが限界にまで達した入院1ヶ月後、私のもとにやってきた車椅子!
看護師さんに身体を起こして貰い、乗せて貰いました。
日進医療器の車椅子だったと思います。
その時の感想はとにかく「嬉しい」!
それともうひとつ、「視点が低い」でした。
当然のことなのですが、座って移動するわけですから、
今まで歩いていた目線とは違う世界が広がります。
それは良いことだけではありませんでした。
例えば、自動販売機のてっぺんにあるボタンが押せない…
今まで当たり前に行ってきたことが出来ない、
そんなもどかしさも正直なところありました。そこで私が思ったこと。
「私は今まで、車椅子に乗った人達に優しかっただろうか?」
例えば、車椅子の横を通る子供達。
はしゃいでいて、こっちにぶつかってきたら
自分まで転倒しそう(実際はそんなにもろいものではないのですが)で不安になります。
私はこの子達と大差なかったのではないだろうか?
ほんの些細なことが不安になります。
ぶつかってくるのも、ぶつかってしまうのもこわいです。
乗っている人達の気持ちが、ほんの少しだけわかった気がします。
それと同時に、優しい人達が沢山いることも知りました。
道を譲ってくれる、落としたものを拾ってくれる、
手の届かないところを助けてくれる…
入院している患者さんたち、ご家族たち、
皆、性別も年齢も問わず助けてくれました。
そうなんです。助けてくれる人って、多いんです。
「私もこうなりたい」強く思いました。
あたたかい気持ちにしてもらったぶん、恩返しをしていきたい。
困っている人がいたら手を差し伸べたい。
毎日仕事や恋愛のことばかり考えていた私にとって、この機会は大きなものでした。
1ヶ月ほどの車椅子生活を終え、無事に歩き、退院した私。
今もOLですが、ひとつ変わったことがあります。
それは、介護士になる夢を持ったこと。
これは事故に遭い、車椅子に自分が乗らなければ持てなかった夢です。
もちろん事故に遭わないことが一番ですが、誰しも車椅子に乗る可能性はあります。
私にとって得るものは本当に大きかった車椅子生活。
次は誰かの車椅子を押せるよう、日々勉強に励んでいます。
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