

現在、私には首から下が動かない祖父がいます。去年、階段から転げ落ちたのが原因です。今回は、その祖父の介護に使用した車椅子と、その時の体験談を記述します。
首から下が動かない祖父の車椅子を押すときには、非常に気を使います。寝たきりであったり、食事が自ら取れなかったりといった状況は想像できても、いざ車椅子となると話は別です。
例えば車椅子を押し始める時。勢いよく押すわけにはいきません。健常者であれば耐えられるような反動でも、首から下が動かない祖父の場合、その力に耐えきれず体が前に倒れてしまうからです。

そのため、私はできる限り慎重にスタートし、少しずつ少しずつ力を加えていきます。実は、この力の加え方はかなり辛いものがあります。一気に力を込めるのではなく、ゆっくりと加速させる。ダンベルをゆっくり持ち上げる際のような負荷が、毎回かかり続ける状態です。
しかも、段差を超える場合には、さらに気を遣わなければなりません。車椅子はそもそも大きな段差を乗り越えるのが苦手です。田舎ということもあり、近所には大きな段差が数多くあります。祖父を載せて段差を越えるたび、私は極限まで気を張ることになります。

段差を乗り越える際、体が倒れてしまうリスクがあるのはもちろんですが、もう一つ気をつけなければならないことがあります。首から下が動かないということは、腕も動かないということです。
車椅子は本来、腕を肘掛けに置いて使用する前提で作られています。しかし祖父は腕が動かせません。指がわずかに動くようにはなりましたが、自力で腕そのものを持ち上げることは未だにできません。そのため、段差を越える時に腕が肘掛けからずり落ちてしまうのではないかと、いつもヒヤヒヤしています。筋肉が動かせない状態で腕が落ちると、脱臼の恐れがあるため、祖父にとっては一大事なのです。

このような体験を通し、もっと便利な車椅子があればと考えさせられます。一つは、スタート時に力を入れずに押し出せるような電動アシスト付きの車椅子。現場はかなり楽になるはずです。二つ目は、段差を乗り越える際に揺れや傾きを抑えてくれる車椅子。不意の動きに対応しにくい高齢者にとって、安心感につながります。
こうした技術はすでに開発されているのかもしれませんが、私たち消費者に十分な情報が届いていないのではないでしょうか。企業には情報公開に力を入れてほしいですし、私たち自身も、いつか来る被介護に向け、車椅子のあり方を正しく認識し直す必要があると感じています。
首から下が動かないという状況での介護は、想像を絶する大変さがあることとお察しいたします。特に、スタート時の繊細な加速や、段差での腕の脱臼リスクに対する配慮は、実際に介助を担った方でなければ語れない切実な課題ですね。「自分の体を預ける」ということの重みを改めて突きつけられるようです。
自分自身の体やライフスタイルは、いつどう変わるか分かりません。だからこそ、今から「もし自分や家族が車椅子を使うようになったら」と想像し、準備しておくことが、誰にとっても暮らしやすい街づくりにつながります。
今回お話しいただいた「腕がずり落ちる」といったお悩みですが、実はメーカーのオプションパーツとして、腕をしっかりと固定できる肘置きやクッションなどが用意されている場合があります。 もし車椅子選びで迷われている場合は、カタログをご確認の上、ご注文の前にぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
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