ある日のこと、帰宅した父親が脚(というか、身体半分)を
引きずりながら車から降りて歩いてきました。
どうしたのかとたずねると、誤って高いところから落下したのだと言います。
自力で車に乗り、自分で運転してやっとのことで帰ってきたのだそう。
今となっては「連絡してくれれば迎えに行ったのに」と思いますが、
そのときはものすごく痛そうな様子なのにもかかわらず、
わたしの肩を借りることを拒む父に、杖代わりに傘を渡すので精一杯でした。
とりあえず布団を敷き寝かせたものの、
その「横たわる」という動作も困難なほど。
緊急そうではないものの、これはすぐに病院へ連れて行かなくては、
と思いましたが、年末で忙しく家族は全員出払っていました。
とにかくしばらく休んでもらいつつ、自分一人では到底父の
介護が出来るほどの力もないため、母に連絡しましたが、
忙しくて病院への付き添いは無理とのこと。他の家族も同様。
とにかく行かなければという思いに保険証をもって、
「自分ひとりで行くからいい」という父をなだめ何とか病院へ。
病院についたら父にどうやって移動してもらおうかと、
心配しながらの運転の道中でしたが、
「あそこの病院の玄関には車椅子があったな」と思い当たりました。
父も車椅子なら、というので、お借りする事に。
それまで車椅子というものには馴染みがなく、
実際に触れた事も初めてだったのですが、こういう時、本当に便利なんですね。
普段は使用したこともない車椅子でしたが、こんなに頼りになるものなのだとは知りませんでした。
幸い父の症状は大したことはなく、その後すぐに治療が終わりましたが、
予想以上に便利だと知った車椅子でしたので、なんとなくそれ以降、
スーパーでも、施設でも色々なところに貸出用の車椅子は置いてあるんだな、
と意識してしまうようになりました。
あの日、もしも病院に貸出用の車椅子を置いていてくださっていなければ、
自分は非力なため、父を移動させることもできず1人で途方にくれていたと思います。
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