車椅子に座る際の「安全ベルト(シートベルト)」について、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
これらは正しく使えば、ずり落ち防止や正しい姿勢の保持(良肢位の維持)のために大変有用な道具です。しかし、使い方を誤ると、それは「拘束具」となってしまいます。大切なのは「何のために使うのか」という目的を、使う側も支える側も明確に理解しておくことではないでしょうか。
福祉の現場では「身体拘束の禁止」が強く求められており、それは私たちが利用者様の尊厳を守る上で欠かせない方針です。しかし、一律にベルトを遠ざけるのではなく、「ベルトがないと体がぐらついて不安」「姿勢が崩れてしまって痛い」という利用者様の声にも耳を傾ける必要があります。
重要なのは、自由を奪うことではなく、その方が一番心地よく過ごせる姿勢(良肢位)をどうやって作り出すか、そのための選択肢としてベルトをどう活用するかを考えることだと思います。
安全ベルトの意義は、転落や転倒を防止し、安心して座っていられる「土台」を作ることです。体が安定すれば、食事も取りやすくなり、視界も広がり、会話も楽しみやすくなります。車椅子に乗るご本人が「これがあると安心する」と感じられることこそが、最も大切な基準です。
それぞれの状態に合った正しい種類・方法を選び、何よりご本人の意思を尊重する。安全は、そうした丁寧なコミュニケーションの積み重ねから生まれるのではないでしょうか。
安全ベルトを「拘束具」と捉えるか、「姿勢を支えるパートナー」と捉えるかは、その使い方や心掛け一つで大きく変わるものですね。私たちは、ベルトを「縛るため」ではなく「その人がより楽に、より活動的に過ごすため」の道具として活用していただきたいと強く願っています。
今回ご紹介したベルトのように、最近は体への圧迫感を最小限にする工夫が施されたものもたくさんあります。まずは「ご本人が今、どんな姿勢なら楽なのか」を一緒に探ることから始めてみませんか。道具はあくまで、その方の笑顔を支えるためのもの。私たちも、皆さんが安心して過ごせる環境作りを全力でサポートいたします。
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