「車椅子を押すのが初めてで怖い」という相談をよく受けます。でも、難しく考える必要はありません。基本的にはベビーカーを押すような感覚で、軽い力で歩調を合わせれば大丈夫です。グリップを強く握りしめる必要もありません。
大切なのは、力加減よりも「周りへの目配り」です。狭い廊下の角や人ごみでは、フットレスト(足乗せ)が壁や周囲の人に当たりやすくなります。特に人ごみでは、うっかり足をタイヤで轢いてしまう事故が多いため、常に周囲との距離を意識して歩くようにしましょう。
車椅子には「一時的な停止(介助ブレーキ)」と「駐車(駐車用ブレーキ)」の2種類があります。ちょっと止まるだけの時はハンドブレーキを使えば良いですが、会話や食事、ベッドへの移乗など、車椅子から手を離すときは必ずタイヤ横の「駐車用ブレーキ」をかけてください。
ここで重要なのは、左右両方のタイヤに必ずブレーキをかけることです。片方だけだと、体重がかかった瞬間に車椅子が回転したり動き出したりして、非常に危険です。「止まったらすぐ左右ともかける」という癖を身につけましょう。
これから介護を始める方には、ぜひ一度ご自身で車椅子に乗ってみることをお勧めします。
実際に乗ると、ちょっとした舗装の凸凹が驚くほど激しい「揺れ」として伝わります。介助者の歩行スピードも、乗っている側からは速く感じて怖いものです。また、ずっと座っていると向かい風や冷えで体が凍えてしまいます。冬場は「スポーク巻き込み防止」機能があるひざ掛けなどを使い、足元をしっかり暖かくしてあげてください。体験することで、介助の仕方がより丁寧で優しいものに変わります。
車椅子に乗る方は、自分の背後で何が起きているか見えません。急に動き出したり、予期せぬ場所で止まったりされると、強い不安を感じます。
「食堂に行きますよ」「角を曲がります」「ブレーキをかけました」というように、短い一言でいいので常に声をかけてください。この小さな配慮が、乗っている方の心に大きな安心をもたらします。
もう一つ見落としがちなのが「タイヤへの巻き込み」です。特に自走式の場合、車輪が大きいので、乗っている方の手や衣服がスポークに触れることがあります(スポークカバーがあれば安心です)。
また、フットレストから足が落ちていないかも要注意です。知らぬ間にフットレストをはね上げていたり、足が滑り落ちていたりすると、地面を引きずって大怪我につながります。走行前と走行中は、必ず「足は正しく乗っているか?」を確認する癖をつけてください。
車椅子を押すとき、最初は誰でも緊張してしまうものです。でも、難しく考えすぎないでくださいね。
まずは「自分も一緒に乗ってみる」とか「今日はブレーキを左右ちゃんとかけたかな?」と、一つずつ初心にかえってチェックしてみるのが、一番の近道ですよ。
それから、長く使っている車椅子の場合、ブレーキの利きが悪くなっていたり、タイヤがすり減ってガタガタと揺れがひどくなったりすることもあります。もし最近「なんだか押していて重いな」「安定しないな」と感じたら、車椅子全体が少し疲れているサインかもしれません。
車椅子も長く使えば買い替えの時期がやってきます。不調を感じたら無理をせず、ぜひ一度新しいモデルも検討してみてください。また押し心地が軽くなって、お出かけが楽しくなりますよ。何か気になったら、いつでも気軽にご相談くださいね!
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