車椅子は、単なる移動道具ではなく、障害を持つ方にとっての「足」そのものです。免許もいらず、スピードが出るわけでもありませんが、ベッドから降りれば一日中、どこへ行くにも手放せない存在です。
かつてはパンクに悩まされることも多かったですが、ノーパンクタイヤの普及でずいぶん便利になりました。それでも、毎日使い続ける道具である以上、経年劣化や故障は避けられません。
車椅子が故障して動かなくなると、生活は一気に立ち行かなくなります。靴ならすぐ買い替えられ、車なら代車がありますが、車椅子はそうはいきません。トイレへの移動すらままならないこともあり、突然の故障は途方に暮れてしまうほどの大きな問題なのです。
多くの方は体に合わせた調整済みの車椅子を使っています。市町村の助成制度で購入・修理ができますが、申請から判定までにはどうしても時間がかかります。
また、耐久年数は原則6年と決まっており、その期間内に買い直すにはさらなる手続きが必要です。この「すぐには手に入らない」というもどかしさが、現場の悩みです。
手続きを待つ間、ご家族や施設職員の方々が、知恵を絞って応急処置を施す場面をよく目にします。グリップを自転車用に交換したり、スポンジとテープで肘置きを作ったり、毛布でクッションを作ったり。
決してプロの修理ではありませんが、「足」が使えなければ生活が守れないという切実な思いが、こうした工夫を生んでいます。自分たちで「まずはなんとかする」という精神は、非常に大切です。
車椅子を長く安全に使い続けるには、日頃からの点検と、ある程度のメンテナンス知識が欠かせません。
制度を頼ることも大切ですが、まずは自分の車椅子の状態をしっかり「見て」、気になることがあれば早めに対処する。この「まずは見てみよう」という意識が、大きな故障を未然に防ぐ一番の近道です。
もし「あれ、なんかおかしいな?」と感じたときは、まずは取扱説明書にある『安全確認』の項目をじっくり読み返してみてください。
実は、日々のちょっとした確認やネジの締め直しだけで解決することも少なくありません。まずは基本に立ち返り、ご自身で状況を確認してみることが大切です。
それでも解決しない問題があれば、その時は具体的な状態を把握した上でご相談ください。
皆さんが自分の力で長く、安全に使いこなせるよう応援しています。
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