
一人暮らしの母が突然の脳梗塞に襲われたのは、今から1年半ほど前のことでした。何気なく寄った実家の玄関で倒れていた母を見つけ、激しい動揺の中、救急車で病院へ駆け込みました。
懸命な治療で命はとりとめたものの、入院して2週間ほどは呼びかけてもほとんど反応はなく、たまにぼんやりと目を開ける程度でした。そんな状態でも、2週間を過ぎた頃からは、言語療法士や理学療法士による機能回復のためのリハビリテーションが始まりました。

言語療法士は喉を刺激して飲み込みを促し、理学療法士は足や腕のマッサージを行いました。しかし、入院中にも小脳梗塞や脳出血が重なり、母の病状はなかなか安定しませんでした。当時の私たちは半ば絶望的な気持ちで付き添っていました。
そんな母がリハビリの一環で初めて車椅子に乗せられた時の驚きは、今でも忘れられません。ずっとベッドで寝たきりだった母が、車椅子に乗ったとたん目をかっと見開き、かろうじて動く左手で肘掛けを必死に握りしめて、身体のバランスを取ろうとしたのです。

その様子を見守っていた母の弟も、元気だった頃のような力強い眼差しに大喜びでした。その日から、体調が良い日にはリハビリで車椅子に乗ることが増えました。
重度の後遺症がある母にとって、車椅子に乗ること自体が五感を刺激する貴重なリハビリとなりました。今は集中的なリハビリ期間を終え、施設で午前と午後に1回ずつ車椅子に乗り、広いホールで他の皆さんと過ごしています。

母が使用している車椅子は、一般的なものとは異なり、身体に負担をかけないための特別な機能がついています。
一日をベッドで過ごす時間が長い母は、座ると足に血液がたまってむくみ、血圧が下がってしまうことがありました。しかし、介護者が手元で操作できる「ティルト&リクライニング機能」のおかげで、足元から身体全体を上向きに調整でき、足の変色や血圧低下を防ぐことができています。

クッション性もホールド性も高く、母にとっては単なる車椅子というより、安心できる一台といった感じです。先日見学した施設では、さらにコンパクトで扱いやすそうなモデルに乗っている方も見かけました。
車椅子も乗る人の状態に合わせて、身体的な負担を減らすように進化しているのですね。

近頃では、ドライブや公園への散歩など、行動範囲も広がってきました。たとえ自由が利かなくても、季節を感じる時間は大切です。今の母にとって、車椅子は私との大切な時間を作ってくれる、生活になくてはならない存在です。
ご家族の献身的な付き添いと、車椅子を通じてお母様が反応を取り戻されたお話、大変感慨深く拝読いたしました。
寝たきりの状態から姿勢を変えることは、単なる移動以上のリハビリ効果がありますね。特にティルト・リクライニング車椅子は、今回のように座る姿勢で血圧が不安定になる方や、むくみに悩む方には欠かせない道具です。身体をしっかりと支える機能が、精神的な安定にもつながっているのだと思います。
車椅子選びで迷われることがあれば、いつでもご相談ください。お身体の状態に合わせた調整や機種のご提案を通して、お母様とご家族の穏やかな時間が少しでも長く続くよう、お手伝いさせていただきます。
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