
ある夏の暑い日、息子が突然立てなくなりました。二日前に中学の運動会があったので、疲れや筋肉痛かな?と軽く思っていましたが、トイレにも行けない様子。これはおかしい!と思い、夜間に近くの救急外来へ駆け込みました。
「もしかしたら骨にヒビでも入っているのかも」と不安でしたが、不思議と本人は痛がっていません。病院に行けばすぐに直してもらえると信じていたのですが、救急外来での診断は「骨に異常なし」。専門医ではないとのことで、紹介状を書いてもらうことになりました。

紹介状があればすぐ治るだろうと安易に捉えていた自分が懐かしいです。次の日までは、息子を抱えてトイレに連れて行ったり、着替えさせたりと必死でした。「一晩経てば治っているかも」という夢は打ち砕かれましたが、どこかで「きっとすぐ良くなる!」と楽観的に信じていました。仕事で忙しい夫も「焦らずに行こうね」と息子と私を励ましてくれて、息子と二人で病院へ向かいました。

レントゲンやMRI、脚の検査にたくさんの採血…。神経内科にもかかって、ようやく診断がつきました。「筋ジストロフィー症候群」という、初めて聞く病名でした。そこからは免疫療法という点滴治療を開始することに。先生は何度も説明してくれましたが、難しいことはなかなか理解できません。とりあえず遺伝子の病気であるということ、そして90%はこの治療で良くなるけれど、残りの10%は難しいかもしれないという現実だけが胸に残りました。

息子は90%に入ると信じていましたが、立つと膝から力が抜けてガクッと座り込んでしまいます。それでもリハビリのおかげで、腕の力を使って一人で車椅子へ移れるようになりました。あのシャイだった息子が、看護師さんの前でよく笑うようになったのです。決して弱音を吐かず「母さん大丈夫?」といつも私を気遣ってくれました。入院から一ヶ月、治療を終えても車椅子なしの生活は考えられない状況でした。

病院や役所の方々に相談し、レンタルで車椅子を借りることができました。息子が恥ずかしがらないか心配でしたが、友達が移動教室で押してくれたり、給食を運んでくれたりと、温かい支えがありました。
あれから一年。元通りとは言えませんが、今では元気に歩いて高校へ通っています。先生、看護師さん、役所の方々、そして友達。たくさんの人に感謝の気持ちでいっぱいです。でも一番は、いつでも明るく家族に接してくれた息子に、「これからもよろしくね、ありがとう」と伝えたいです。
突然訪れた病気に、どれほど戸惑い、不安な日々を過ごされたことでしょうか。お母様の「すぐ治るはず」という切実な願いと、息子さんのひたむきな強さが痛いほど伝わってきます。
「車椅子は恥ずかしいのでは」というお母様の心配をよそに、自然と手を差し伸べてくれたお友達の存在も心強いですね。ご家族の絆、そして周りの温かい支えが、息子さんの回復の力になったのだと感じます。
貴重な体験談をお聞かせくださり、本当にありがとうございました。
© 2013-2025 Next care innovation Co., Ltd.