私の祖母が事故で車椅子生活になった話です。
私の祖母はとても散歩が大好きで、よく犬とお散歩に出かけたりしていました。
私は毎日お散歩する祖母をあまり気にしてはいませんでした。
祖母はまだ元気だから大丈夫だろう、まだ頼み事くらい出来るだろうと思っていたんです。
そんなある日の事、祖母がお散歩に出掛けた所、事故にあってしまいました。
私は急いで祖母が居る病院にかけつけました。
祖母は足が骨折していて、命の方は大丈夫だったそうです。
それから、祖母の車椅子生活が始まり、私は祖母のお見舞いに行ったりしていました。
車椅子は嫌なのか、一人で車椅子で移動しようとはしませんでした。
「散歩に行かないの?」と聞くと、「歩けないからいい。」
と言うので、私はそんなに気にはしてなかったんです。
祖母は、いつも自分の力で何でもこなすような人だったんです。
畑仕事から、買い物や、ゴミを捨てに行ったりと、なんでも自分の足でしていました。
それが今は車椅子生活となると、祖母は嫌だったのでしょう。
自分がしなくてはならない事ができなくなって、
ずっと、部屋にこもって、そんな病院での生活が続いたんです。
数ヶ月が経ち、祖母の骨折は治り退院が決まり、家族みんなで喜びました。
しかし、病院の先生から「骨折は治っても、もう畑仕事など、
負担がかかることは出来ません。」と言われ、祖母の顔はあまり喜んではいませんでした。
祖母は家に帰り、いつものように部屋でテレビを見ていました。
もちろん、退院しても車椅子は続きます。
歩くと足に負担がかかるので、車椅子生活となっています。
私は、祖母が気になり時々祖母の家に行ったりして、
ご飯を作ったり、なにか手伝ったりしていたんです。
それを何日も何日も続けましたが、
祖母は作り笑顔をみせて「ありがとう」と言い、私は帰ります。
私は祖母に何か出来ないかと、いつも考えていたんです。
すると祖母の家の御近所様から、
「おばあちゃん最近みかけないね、どうしたの?」
と言われ、私はピンときて思いつきました。
それは祖母が毎日毎日欠かせなかった散歩です。
祖母は毎日散歩をして、御近所様に挨拶をしながら、
運動をしていたみたいなんです。
私は急いで祖母の家に行き「散歩にいこっ!」と言ったんです。
しかし、祖母は歩けないからいいと言いました。
それの一点張りで、しようとしなかったんです。
私は、本当は祖母は散歩がしたいんだって思ったんです。
だったら、私がなんとかしなくちゃとそう思い、祖母に言ったんです。
「歩けなくても、車椅子でもいいから、外に出てみない?」って言ってみたんです。
祖母は恥ずかしながらも、了承してくれましたんです。
まず初めは、玄関前で外の空気を吸って、のどかな時間を過ごしたりしてたんです。
御近所様が通って、あいさつに来てくれたりしたんです。
祖母は車椅子での生活が恥ずかしいのか、あまり挨拶が出来てなかったんです。
しかし、これで良かったのです。
祖母はただ、今まで歩いて皆に声をかけながら
散歩をしていたのが車椅子になり、恥ずかしかっただけなのです。
祖母に「そろそろ、外も慣れてきた?」と聞き、
慣れた様子なので、そろそろ散歩に出掛ける準備をしました。
そして、祖母と初めてのお散歩です。
この時、私は初めて心が温まったなぁと思ったんです。
なぜなら、祖母とお散歩が初めてで
何より私が車椅子を押してお散歩してる事です。
祖母の背中をゆっくり押しながら散歩をしていることに、すごく和んだんです。
時間が経つのは早く、祖母とのお散歩はすぐに終わったような感じにいつもなります。
でも、毎日毎日祖母とのお散歩で、幸せになる瞬間は、
手伝いをしたりして祖母が作り笑いの「ありがとう」が、
今では、本当の笑顔の「ありがとう」に変わった事です。
祖母は、その笑顔を御近所様にも配っていて皆も笑顔になり、とても、和みました。
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