自分にとっての車椅子は、新しい出会い、新しい場所に連れて行ってくれるための欠かせない相棒であり、文字通り足の代わりであり、外出先で出会った人との接点をご縁を作ってくれるきっかけになるものです。
というのも外出先では、エレベーターが一つの改札にしかないから、建物の中と外とをぐるぐる迂回せなあかんとか、車椅子で乗れるバスがキャリーバックとか手押し車をお持ちの方が いらっしゃったとき人ひとりすれ違うスペースしかないぐらい狭いとか、道ががたがたで信じられないぐらい多い自転車が歩道に止めてあるとか、居酒屋に車椅子のまま入れるトイレがないとか、 自分が住んでいる地域から少し離れたところでも環境に地域差が出るということが起こります。
でもその度に考えることがあります。
もしも、だれの手を借りることなく駅とかいろんな場所に自分一人でアクセスできたとしたなら、今ほどコミュニケーションをとる必要が果たしてあっただろうか。
外出先や旅先で困るということが、かえっていろんな方に助けていただいたり、本来出会わなかったであろう人との出会いやご縁のきっかけになっている。
美容院に行ったときに、自転車が歩道にたくさん置いてある。
しかも、道がガタガタで車椅子で通るには少し大変。
だからこそ、美容院で髪を切ってくれる方がわざわざ駅まで迎えに来てくれたり、美容院でコーヒーを出してもらうときコーヒーを置くスペースがないのでストローを付けてくれたり、持ちやすいようにわざわざコーヒーの入れ物を変えてくれたり。
そういう細やかな気遣いに出会う機会がたくさんある。
だから、自宅から2時間弱かかる美容院までわざわざ通う価値はそういうところにあるのかな、と思っています。
東京に行ったときに、僕は車椅子なのでホテルを予約してもベッドに自分で乗り移ることが難しいので、泊まるところを考えるときに困ることが多いのです。
その日はとりあえず渋谷に行こうと思い、カラオケボックスとかマンガ喫茶など朝まで過ごせるところを探そうと思いました
渋谷はとても坂が多くカラオケボックスだけでも5,6件回ったんですけど、入口に段差があるとか入れたとしても部屋が狭くて車椅子が通れないとか、そういったことでなかなか見つけることができませんでした。
近くで立っているキャッチのお兄さんにどこかないですか?と聞いても 「いやー分かりません」ということで、渋谷に着いてから2時間半ほど駅の周辺をグルグルしていました。
そのうち途方に暮れてきて、今日は大丈夫かなと思いだしてきましたが、ふとそこに一軒のバーがあらわれて事情を説明すると、バーのマスターが「東京でホテルを取らないのはヤバいぜ」って わざわざ店まで閉めて「一緒に朝まで話しましょう」と言ってくれました。
そんな自分が思う車椅子作成についてですが、まず、姿勢保持が大事になります。
自分の体が今後どういう風に変化していくかという予後予測も含め、体に合ったものはどういうものかセラピスト、技師装具士の方たちと言語化して少しずつ具体的にしていきます
外出のしやすさやコンパクトさ折り畳みできるかどうかなど考慮しないといけない点も多いので、姿勢保持のことだけ考えるというわけにはいかないのですが、全て含めてまるっといい形よりベターな形を模索していきます。
そのプロセスというのは決して美しいばかりではなく地味で地道な、たとえばウレタンをあと何センチカットしようとか、メーカーさんとのやり取りの中でここは出来るけどこれは出来ないとか、 そういう細かなやりとりがあって、僕らにとって乗りやすい使いやすい車椅子が出来上がってくるわけです。
困ったとか試行錯誤したプロセスがケースの一つとしてほかの誰かや後に続く人の役に立てれば、これ以上に嬉しいことはありません。
そういう思いで行動していこうと思っています。
© 2013-2023 Next care innovation Co., Ltd.