私は現在4人の子供たちと主人、それから同居の69歳の母と80歳の父の8人で一緒に暮らしています。
80歳の父の話ですが、父は身長180cm体重が100㎏近くもある大柄の人です。
その父はもう30年ほど前に糖尿病を発症しました。
元はタクシーの運転手で人と話すのが大好き、趣味は麻雀や将棋とテレビゲームで、幼い頃の私の記憶ではいつも父の部屋に行くと飴とか、お菓子がたくさん隠されていました。
そんな父ですが今は車椅子が手放せない生活をしています。
体が大きいせいもあって足に負担がかかりすぎていたのか、70歳を過ぎる頃には歩くときに足が痛くなり支えがないと辛い様子でした。
その頃はまだなんとか自立歩行ができていましたが、やはり長時間になるとしんどくなり、座りこんで休んだりする時間が増えていきました。
75歳になる頃には近所のホームセンターで安いシルバーカーを購入し、それを日常で使うようになりました。
支えがあるという安心感からなのか、外に出ることが増えました。
父は買い物も大好きで足が辛くなってきた頃からは、もっぱらテレビショッピングなど通販でほしい物を買っていましたが、シルバーカーで動けるようになってからは自分の足で スーパ―まで行って好きに買い物ができ、とてもうれしそうでした。
しかし、体は老化という現象から逃れることはできません。
78歳になった頃にはシルバーカーを押すことすらできなくなり、ほぼ一日中布団で横になりトイレと食事の際だけは、なんとか床をはって移動するというような生活になっていました。
その頃、父はただ毎日同じことの繰り返しの生活で少し気が滅入っていたようで、母ともよくケンカになっていましたし、私達の事もすぐに口を出してきたりしていました。
今思えば、ストレスが溜まっていたんでしょう。
元々は社交的で外に出るのが好きだったわけだから それができないと仕方がないのかもしれません。
しかし、そのままだとそれこそ認知症の心配、運動機能の低下から本当の寝たきり生活になる可能性もありました。
そこで、家族で話し合いデイサービスでリハビリを受けてもらうことになりました。
といっても、自立歩行はできないため車椅子を用意することになりました。
でも、買うのは高いし、リハビリで車椅子が必要なくなるかもしれないと思ったので、福祉用具を取り扱っている会社からレンタルすることにしました。
レンタルをしたのは、カワムラサイクルの車椅子 EMC-240シリーズで、明るい色の方が目立っていいかなということでオレンジにしました。
大柄の父が乗ると少し窮屈な感じはしましたが、自動で難なく自分の行きたいところへ移動できるということに、父の表情はとても明るくなりました。
デイサービスでもリハビリを頑張っているようですし、何より多くの方とお話ができたり趣味の将棋をさせたり色んなイベントの企画をしてくれるおかげで、すごく変化のある生活に変わりました。
父が車椅子を使うようになるまでは、正直言って 私は「車椅子のお世話になるようになったらもうあかんし」という感じでした。
それに、自分の体が思うようにならず最低限の事しかできない生活で ”ただ生きているだけ”という状態の父と、どう接したらいいのかわからなくなっていました。
でも、車椅子のおかげで父が元気だったころの笑顔いっぱいの生活を送れるようになり、自分から「今日は散歩に行ってくるわ」と積極的に外に出ていけるようになったことで、自分の車椅子への偏見ともとれる考えはなくなりました。
人間は生ある限り、自分らしく生きる権利があると思います。
車椅子を使うことでそれが叶うんです。
体と心の健康も別の物じゃなくて表裏一体だと思います。
足を動かすのが辛いからと家にこもる生活をしていたら、いずれは心も閉ざされてしまうと思います。
父の様子を間近で見てそれを強く感じました。
なので、今は同じような状況の人がいたら車椅子をすすめたいと思っています。
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