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私は小学生の頃に足を大怪我してしまい、しばらくの間、本格的に車椅子生活を送ったことがあります。病院への入院を余儀なくされ、その期間中の館内移動はすべて車椅子で過ごさなければなりませんでした。このとき私が利用したのは、よくドラマや映画などで見かけるような、ごく一般的でシンプルなスチール製の標準型車椅子でした。それまで健康に歩いていた私にとって、初めて乗る車椅子の第一印象は、お世辞にも快適とは言えず「なんて使いにくい道具なんだろう」という驚きでした。
子供の筋力にとって、車椅子は全体的にずっしりと重く、自分の力だけで車輪を回して進むのは想像以上の重労働でした。しかも、車輪(ハンドリム)を前後させるために使う腕や肩の動きは、日常生活ではまず使わない特殊な筋肉の動かし方です。そのため、ほんの少し移動を試みただけで、翌日には腕全体が激しい筋肉痛になってしまったことを今でも鮮明に覚えています。当時の私は、慣れない自分が乗ったから筋肉痛になったのだと思っていました。
しかし大人になった今振り返ると、普段から車椅子を日常の足として使われている方々は、座った状態という「お腹や足の踏ん張りが利きにくい姿勢」のまま、上半身の筋力とテクニックを駆使してあの重い車椅子を自在に操っているのだと気づかされます。当時は滑り止めのためかタイヤの抵抗も強く感じられ、ちょっとした病棟内の移動ならまだしも、これを使って街へ買い物に出かけたり、長距離を移動したりするなんてとてもじゃないけれど無理だと感じ、車椅子の自走がどれほど体力を消耗するものなのかを身を以て知りました。

また、実際に座って移動してみると、路面のほんのわずかな段差や凹凸が、ダイレクトに身体全体へと響くことにも驚かされました。自分の足で歩いているときは、ごく自然にまたいで通り過ぎてしまうため、目にも留まらないような数ミリの隙間や点字ブロックの段差であっても、車椅子の小さな前輪(キャスター)が乗り越えるたびにガタガタと大きな振動が伝わってくるのです。この衝撃は、特に後ろから誰かに押してもらう(介助してもらう)ときに大きな不安要素となりました。
遠くからでも目立つような大きな段差であれば、押してくれる人も手前でスピードを落とし、優しくゆっくりと動かしてくれます。しかし、歩いている人が気づかないレベルの微細な段差だと、平地とまったく同じスピードのままグイッと押されてしまうため、心の準備ができないままガツンと大きな衝撃が体に伝わり、乗っている側としてはハラハラしてしまう瞬間が多々ありました。
それ以上に、今でも強く心に残っているのが「目線が低くなることによる精神的な恐怖」です。小学生とはいえそれなりに身長が高かったため、車椅子に深く腰掛けた途端、いつも見ている世界より視界がグッと地面に近づきました。周囲に立っている大人たちに見下ろされる形になるのですが、自分のちょうど目線の高さに、周囲の人の「手」がゆらゆらと位置することに言葉にできない怖さを覚えたのです。もちろん誰かに叩かれたわけではありませんが、防護姿勢をとりにくい低い位置から見上げる姿勢は、周囲の人が少し動くだけでもビクッとしてしまうような独特の緊張感がありました。

そんな低い目線の不安や自走の疲れの中にあったからこそ、信頼できる家族や看護師さんに後ろから車椅子を押してもらえる時間は、本当に大きな安心感に満ちていました。自分で無理に漕ぐよりもはるかに動きがスムーズで、乗っているだけで目的地に着けることが本当に有り難かったです。この入院生活を経て、子供ながらに「もっと快適で怖くない車椅子にするには、どう改造したらいいだろう?」と本気でアイデアを巡らせるようになりました。
最初に思いついたのは、自転車や自動車のように「タイヤを思い切り大きく、太くして、空気の入った柔らかい素材にする」という案でした。そうすればマウンテンバイクのように段差の衝撃をきれいに吸収して、座り心地が最高になるはずだと考えたのです。しかし、タイヤを大きく・柔らかくしすぎると、今度は車椅子全体の剛性や直進の安定性が損なわれ、座面を支えるには頼りない構造になってしまいます。さらに自動車並みの頑丈な大径タイヤにすれば、今度は総重量が重くなりすぎて、一人では微動だにさせられなくなってしまうジレンマに気づきました。
それならと、次に考えたのは「前輪の小さなキャスターも後輪と同じくらい大きくして、しっかりとした四輪構造にする」というアイデアでした。人間や自転車などの二本足・二輪のものはバランスを崩すと簡単に転びますが、車や四つ足の動物のように、四隅がしっかり大きな車輪で接地していれば絶対に転ばず安定すると思ったのです。ただ、当時は子供の想像力で行き詰まってしまいましたが、これはいわゆる現代の「電動車椅子」やアウトドア仕様の特殊モデルの構造そのものだったのだと、大人になってから知りました。

月日は流れ、最近になって今度は私の祖母が足腰を悪くしてしまい、入院中の病院内で車椅子を利用するようになりました。かつて乗る側を経験した私は、今度は自分が押してあげようと思ったのですが、情けないことに怖くてうまく押すことができず、結局はいつも母に介助を任せてしまっています。車椅子を後ろからコントロールするというのも、乗るのと同じくらい、あるいはそれ以上に大変な技術と体力が必要なのだと痛感させられました。
車椅子そのものの重量に加え、上に乗っている大切な家族の体重がそのまま手元にかかってくるわけですから、坂道や方向転換はもちろん、平地であっても腕力のある人がしっかりとグリップを握って支えなければ、ちょっとした路面の傾きで車椅子が思わぬ方向へ流れていってしまいます。自分が子供の頃、何気なく親や看護師さんにおんぶや車椅子の介助を頼んでいましたが、実は裏側でどれほど大変な重労働を笑顔で引き受けてくれていたのか、大人になった今だからこそ心からの感謝とともに理解できるようになりました。
車椅子は、ただ歩行を補うための機械ではなく、乗る人と支える人の双方が命を預け合う大切な乗り物です。だからこそ、乗る側の目線の不安や微細な振動への対策、精度高くコントロールできるような設計など、時代の最先端の技術によってさらに使いやすく優しく改良され続けていってほしいと願っています。
子供時代に体験した自走での激しい筋肉痛や、見上げる視界による独特の緊張感を体験され、大人になってからはご祖母様の介助を通じて「後ろから安全にコントロールする難しさ」を実感されたという、 乗る側・押す側双方のリアルな心の動きが伝わる大変貴重なエピソードをありがとうございます!路面のわずかな変化が身体に響く不安や、介助者が何気なく押すときの衝撃など、実際に体験されたからこその鋭い視点のコメントありがとうございました。
お話にありました通り、車椅子は乗る方の安心感はもちろんのこと、後ろから支えるご家族にとっても安全に操作できるかどうかが非常に重要なポイントとなります。
ただ、一言に「段差に強いもの」「押しやすいもの」と言っても、使う方の身体の状態や筋力、あるいは主に室内で使うのか外出で使うのかによって、最適な車輪のサイズやクッションの選び方は千差万別です。
この体験談のように「少しでも快適に、お互いが安心して移動できる用具を選びたい」と考えられた際には、専門の先生方にご相談いただいた仕様をベースに、ぜひ当店の豊富なラインナップを参考にしてみてください。
現代の車椅子は技術がとても進歩しており、乗る人・押す人の負担を劇的に減らす工夫が詰まった製品がたくさん登場しています。この記事が車椅子選びの一助となることを願いつつ、皆様が笑顔でお出かけできるお気に入りの一台を、
サイト内のたくさんの商品の中からごゆっくり見つけていただけることを心より応援しております!
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