義足を使う母は義足で立つことはできても、歩く事はほとんどできませんでした。立って座るだけでも掴まる所が必要で、室内移動は車椅子を使っていました。
車椅子は乗る母が自力で車椅子を動かせないので、介護者が動かすことになります。車椅子を使うのは主に透析をするための病院に行く時と、家の中のトイレやお風呂への移動でした。
透析は5時間程かかり、透析をするとマラソンするのと同じぐらいの体力を消耗するそうです。母はぐったりしていました。
病院からの送迎の車で帰ってくるのですが、車椅子に乗ったまま車に乗れるのでとても楽でした。 車椅子ごと乗れないタクシーや自家用車を使っていた時は、車椅子から自家用車と移動するのにとても大変でした。 まず、車の椅子の高さが調節できないので腰を下ろすときにドスンと落ちるように座るか、 高くて腰を車の椅子に座る事が出来ずに2、3人がかりで車に座らせるというものでした。
透析で疲れ切っている母は車椅子から車への移動さえも大変だったのです。
車の座席が低い時には厚めのクッションで高さを調節できたのですが、座席が高い場合だと車に頭をぶつけないようにしながら、転ばないようにしながら移動をするのが大変でした。
車椅子をギリギリまで車に寄せて止め、掴まるのは車椅子の肘乗せです。
その時に開いているドアを一人が動かないように押えます。
立った母にドアと車の淵に捕まるようにしてもらってから、車椅子のロックを解除して車椅子を引きます。
そしてもう一人に立っている母が転ばないように、ズボンなどをつかんで立たせてもらいます。
車椅子を引いた人は急いで車椅子をたたみ車の中に入れて、他の車が来ないかを確認などをしている間に 母を車に座らせます。
一連の作業が母一人に対して三人ぐらいの人数が必要になります。車移動だけでこれほどの人数と労力を必要とします。 移動をする方も大変ですが、される方も気を使って仕方ないようです。
母は毎回、移動するだけで驚くほどの感謝の言葉を言うようになりました。
そうしている内に母は、車椅子で外に出なくなりました。
簡単に車椅子に乗るまでの移動ができないことと、透析などの病院疲れで散歩などの移動が辛いことがあるからです。
車椅子を使っていると自分で移動できない人は介護の人が押すのですが、やはり軽い物がとても便利です。
車椅子をさっと引いたり、持ってきたりするのに重いと素早い動きができないからです。
介護している人は特に腰痛になりやすいです。車椅子が軽くないと腰に負担がかかります。
車椅子はクッションがないと、座っている時にとても不安になります。
クッションは厚さ(高さ)柔らかさなどを良く考えないと車椅子の使い心地が変わると思うので、良く使う人の意見を考えて欲しいと思います。
車椅子は、ほんの少しだけ試しに乗っているだけではわからない事があります。
体調が悪い時、普段私が車椅子を動かしている側の立場でしたが、私が乗る事がありました。
その時に家族の者が私を車椅子で運んでくれたのですが、クッションがないととても不安定で座り心地が悪かったです。
そして、運んでいる人は普通に動いているつもりですが、とても早く感じました。
他の人にぶつかったら、という不安でいっぱいで「もう少しゆっくり押して」と何度も言いました。
運んでいる人は「ゆっくり行っているつもりだけど」と言いましたが、とても早かったように感じました。
これは、乗せている人と乗っている人の感覚の違いだと思いました。
もし、車椅子を介護で使う人がいたら使っていない時は車椅子に乗ってどんな感じか、一時間ぐらい乗ってみるのもいいかもしれないと思いました。
ほんの数分、一回か二回乗っているだけでは、わからないこともあると思います。
車椅子を使う人に数か月に一回は座り心地はいいか、速度はいいかなどを細目に聞くのも、 車椅子で動くのに気持ちよく過ごせるかどうかの要因にもなると思います。
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